銀行取引におけるカン違い!

みなさん、こんにちは。
突然ですが、みなさんは 『銀行(金融機関)』と聞くと、どのようなイメージをお持ちですか? 私の場合、元銀行の支店長と言うこともあって、よく中小企業の社長さん方から、銀行取引(特に融資取引)についての質問を受けるのですが、実はほとんどの方が、カン違いされている場合が多いですね。そう銀行自体の考え方を、しっかりと理解していないので、どうしても日々の行動が、銀行員の言いなりになってしまいがちなんです。そんななか、今回のコラムでは、みなさんがカン違いされている銀行取引の3つのポイントについて、お話してみたいと思います。


まず1つ目は、「銀行の立場とは、そもそも貸金業者である!」
よく社長さん方で、「村上さん、なぜ銀行は晴れの日に傘を貸して、雨の日に傘を取り上げるのですか?」と聞かれる方が多いのですが、実はこれって、私から言えばごく当たり前のことなんですよね。いつもセミナーの最初に、「銀行から経営計画書の作成を求められたらどうします?」と言うお話をするのですが、はっきり言って、銀行にとっての『経営計画書』とは『返済計画書』のことで、極端な言い方をすれば、銀行はみなさんの経営よりも、融資返済の方が重要なんですよ。(まぁ~普通みなさんに対して「ストレートに返済計画書を作れ!」なんて言えないですもんね・・・)

だから日々の銀行取引で
①なぜ銀行員は、一般のプロパー融資より信用保証協会の保証付き融資ばかりを提案するのだろう?
②なぜ一度融資を受けると、しきりに預金をお願いされるのだろう?
③なぜ毎年の決算書で『企業格付』をされて、その結果を教えてくれないのだろう?
等々の疑問点は全てこの貸金業者としての立場から起因するもので、みなさんはこの意図を十分理解してお付き合いする必要があるんです。ちなみに銀行にとって融資とは『投資』そのものでもあり、その見返りにみなさんから定期的に利息を徴求しているので、決して銀行からお金を借りているからと言って、自分自身の立場を卑下したりしないでくださいね。


次に2つ目は、「銀行取引においては、法律知識と金融知識が重要!」
よく社長さん方においては、銀行との良好な関係を作るために、自社の決算分析など数字に強くならなければいけないとか、銀行からお願いされたことは、将来融資を受けるため、全てYESと答えなければならないと、思い込んでいる方が多いですが、実はこれも大きなカン違いなんです。そもそも銀行取引自体が契約行為で成り立っており、その契約の中身が一体どのような内容なのかを理解できないと、一方的に不利な条件で契約させられる可能性があります
よね。

例えば 
①保証における一般保証と連帯保証・物上保証の違いとは・・・
②担保における抵当権と根抵当権の違いとは・・・
③専門用語における表面金利と実質金利の考え方は・・・ 等々
みなさん理解されていらっしゃいますか? これはほんの一部ですが、銀行
取引において重要なことは、決して数字や銀行員との人間関係だけではない事を忘れないでくださいね。


最後に3つ目は、「銀行員は、損益計算書より貸借対照表の方に関心がある!」
仕事がらよく社長さん方と、自社の決算書分析についてのお話をすることがあるのですが、みなさんは必ずと言っていいほど、「いくら売って、いくら儲かったか?」「税金はいくら支払ったか?」と損益計算書のお話をされます。当然銀行でも、その事ばかりを話される社長さん方が多いのですが、実は銀行員は、会社の損益よりも、会社がどのようにお金を調達して、どんな会社の資産に運用しているかを表している貸借対照表に関心があるんですよね。だって銀行でお金を借りるのは、この貸借対照表のバランスが崩れた時で、逆に社長さんが、借入金の資金使途をこの貸借対照表で説明出来なければ、銀行員は、ちょっと不安になります。 また、損益計算書の数字は、全社員が一丸となって作るものですが、貸借対照表の数字は、社長さん1人でどうにでもなる事から、「貸借対照表は、経営者の考え方そのものだ!」と昔から銀行で言われているのは、このためなんですよね。だからみなさんも、ぜひ自社の貸借対照表を説明できるようにしておいてくださいね。

以上、3つの銀行取引におけるカン違いについて、お話させて頂きましたが如何でしたか? 次回のコラムでは、「決算書の見方・財務分析におけるカン違い!」についてお話したいと思いますので、お楽しみに・・・




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